赤と白とピンクの筋肉
スーパーの魚売り場に行くと魚が色々並んでいますね。
そんな魚達を眺めていると白身魚と赤身魚がいることに気づきます。
なんで身の色が違うのでしょう?
小さい頃は魚の種類が違うからだろうと単純に考えていましたが、実はこれは筋肉の性質と非常に関係のある話に繋がるのです。
筋肉は大きく分けて速筋と遅筋という二つの分けられてそれぞれの性質は次のようになります。
- 速筋→収縮速度・力共に大きいが短時間で疲労
- 遅筋→収縮速度・力ともに小さいが長時間運動可能
そして、次がポイント。
- 速筋→白色
- 遅筋→赤色
例えば、近海の珊瑚の中や浅瀬を動き回る魚たちはとっさの時にパッと逃げられるように瞬発力が重要になってきます。すると…
瞬発力が必要→速筋が必要→筋肉の色は白色
一方、マグロなどの回遊魚は長時間泳ぎ続けることが求められます。すると…
長時間動かさなければならない→遅筋が必要→筋肉の色は赤
となるわけです。
このように筋肉の色によって生態がある程度分かるのです。
ちなみに人間の筋肉は平均的には速筋と遅筋が50:50と言われていますが部位によってその比率は変わってきます。
例えば、横隔膜はゆっくり長時間動く必要があるので遅筋の比率が多く、走ったり飛んだりするときに使う腓腹筋は速筋の比率が高い構成になっています。
さて、ここでもう一度魚の切り身を見てみると…鮭ってマグロほども赤くないしヒラメほど白くもない。
これは何故?
実は知りません。鮮度の違いだったりして?
ただ、それと関係があるかどうかわかりませんが、筋繊維の種類は実はさらにいくつかのタイプに分けることができ、 一般的には下記の3タイプでほとんどが占められます。
- タイプ1(遅筋、赤筋)
- タイプ2a(速筋、ピンク筋)
- タイプ2b(速筋、白筋)
前回話をしていたのは「タイプ1」と「タイプ2b」の筋繊維のことです。
では、ここででてきた「タイプ2a」ですが、これはスピードも持久力もそこそこ兼ね備えたオールマイティな筋繊維といえます。
そこで「赤」と「白」の中間ということで「ピンク筋」と呼ばれています。これが占める割合が多いと一番いいように感じますね。
ところで、さっき書いたように一般的な筋では赤:白は1:1で、そこからの個人差は遺伝で決まるようです。今までの研究ではトレーニングなどによる赤→白や白→赤への筋肉の転換はヒトでは確認されていません。
「なんだ、遺伝で決まるのか」
と落胆する人がいるかもしれません。
しかし、速筋だけでいえばタイプ2a・タイプ2bの比率は、運動や環境によって大きく変化することが分かっています。
ですのでこの一番バランスの良い筋肉はトレーニング次第で比率を増やすことができるわけです。ちょっと嬉しい話ですね。
ちなみにパワー競技系のアスリートの筋肉では実は「白筋」はほとんど見られず多くは「ピンク筋」だそうです。
「白筋」では繰り返しのトレーニングが素早い回復といった要求に応えられないので自然とピンク筋になってしまうのだろうと考えられています。
そういう意味でもピンク筋を鍛えればアスリートとしてパフォーマンスも良いと言えるのではないでしょうか?
と考えると鮭の切り身の色がマグロなどよりも明るめに感じるのは実は「ピンク筋」が多いのかもしれませんね。
川を上って行くには大きなパワーと持久力、その両方が要求されますから。
【追記】鮭はもともと白身の魚です。餌に含まれるアスタキサンチンの影響でピンク色になります。
サケの赤い色は餌に含まれるアスタキサンチンという栄養素によるものです。卵(イクラ)の赤い色も同じで、サケが成熟して川に昇ると餌を食べなくなり、さらに栄養素が卵に移行するため、身は徐々に白くなります。このことからもサケは白身魚だということがわかります。
やっぱり生物の体ってよくできてる!?
鮭は白身です。
餌に寄って色が変わるだけですね。
あ さん、その通りですね。
記事修正しておきました。