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2017.05.23.

本当に運動すると活性酸素が発生して体に悪いのか?

photo credit: franchiseopportunitiesphotos person doing warrior yoga pose in a gym via photopin (license)
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少し前になりましが、運動とアンチエイジングについての興味深い記事を読みました。

運動のアンチエイジング効果は、細胞レベルで体を若返らせる | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

この記事によると、運動活動レベルとテロメアの長さに著しい違いがあったそうです。
現実にも運動してない人より運動している人の方が活発で若く見えることが多いですし、この結果も納得いくものかなと思います。

ただ、この記事を読んでいると整体の患者さんで
「運動すると活性酸素が発生して体が錆びるから運動しないことにしてるんです」
と真剣に言っていた方のことを思い出しました。

果たして運動は体に良いのでしょうか?この記事では活性酸素を軸にして掘り下げて考えてみたいと思います。

目次

活性酸素とは?

運動が不健康や老化につながるという主張の根拠は活性酸素です。そこで、まず活性酸素について詳しく見てみましょう。

活性酸素というのはWikipediaによると次のように定義されています。

活性酸素(かっせいさんそ、英: Reactive Oxygen Species、ROS)は、大気中に含まれる酸素分子がより反応性の高い化合物に変化したものの総称である。一般的にスーパーオキシドアニオンラジカル(通称スーパーオキシド)、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素の4種類とされる。活性酸素は、酸素分子が不対電子を捕獲することによってスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、という順に生成する。

横文字がたくさんあって分かりにくいですが、要は酸素よりも化学反応しやすい酸素を含んだ化合物のことです。

一般的に4種類に分けられますが、その中でヒドロキシラジカルというのがもっとも酸化力が強く、タンパク質・脂質といった私たちの体を構成する物質や炭水化物とも反応します。そのため、生体に最も影響を与える活性酸素だと言われています。

こういった活性酸素が細胞を構成する分子と反応すとで別の物質に変わってしまいます。これがミクロに見た細胞の損傷で、これが積み重なるとガンや炎症、動脈硬化などのさまざまな症状を発生させると考えられています。そして、そういった細胞の損傷の蓄積が老化の原因だとする説が出てきました。これは現時点はあくまでも説であって実際には明確な因果関係は証明されていません。

活性酸素はなぜ発生する

細胞内では酸素を利用してエネルギー(ATP)を作り出していますが、その化学反応の過程で数%は活性酸素になってしまうものがあります。つまり生きているだけで活性酸素は生産されているわけです。

運動をするとエネルギー消費量が大きく増えます。それはATPを大量に生産することでもあるので、副産物である活性酸素の量も大きく増加することになります。この部分だけを切り取って「運動は活性酸素が増えるから体に悪い」といっているわけですね。

ただ、その理屈からすると「寝たきりで可能な限り運動しないようにすれば活性酸素も減るので老化せず若々しくいられる」という話になりますが・・・

寝たきりで若々しい人って私は会ったことがありません。どうもおかしいですよね。

活性酸素の無害化システム

そもそも呼吸するだけでも活性酸素は発生するのですから、体に何らかの防護システムがあると考えるた方が自然です。

実際に巧妙な活性酸素無害化システムが私たちの体には備わっています。

まず、活性酸素が発生するとSOD、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼといった抗酸化酵素が活性酸素を水や酸素にしてしまいます。

それらで処理しきれなかった活性酸素は今度はグルタチオン、ビタミンC、ビタミンEなどといった抗酸化物質によって処理されます。

この2つをかいくぐって万が一活性酸素が細胞に損傷を与えてしまった場合、今度はその損傷を最小限に抑えるような抗酸化酵素が働きます。

このように3段構えで私たちの体は活性酸素から守られています。

この無害化システムで処理出来ないほど活性酸素が発生し細胞が損傷することを酸化ストレスと呼びます。

活性酸素と運動の関係

基本的に活性酸素の発生量は酸素の消費が増えれば増える、つまり強度の高い運動をした方が増えます。

例えばハーフマラソンとスプリントで比較した実験では

  • ハーフマラソン:運動直後にMDAが増加し、6時間後に安静時レベルにもどり、24〜48時間後にはさらに低下した。
  • スプリント:運動6時間後にMDAが増加し、12〜48時間まで増え続けた

という結果が出ています。MDA(マロンジアルデヒト)というのは過酸化脂質の一種で酸化ストレス指標の一つです。増加したら酸化ストレスが増えている=活性酸素が増えているといえます。

また、筋トレでも運動後に損傷した筋肉の炎症が起こるので同じように酸化ストレスを促進させることが分かっています。

このように運動の種類によって状況が変わりますが、運動によって酸化ストレスが増えることは間違いありません。

一方で、運動することによって抗酸化酵素の活性が高くなる(活性酸素の無害化能力が上がる)ことが分かっています。

ラットで行われた実験では、抗酸化酵素であるSODは運動強度に関係なく運動時間に比例して活性度が上がるという結果が出ており、運動時間が60分まではSODの活性が上昇し、それ以降は頭打ちになることが示されています。

このようなことから考えると、強度が低い運動を30〜60分ぐらいやる分には活性酸素が増える害を心配する必要はないといえるのではないでしょうか?

参考文献:つくばリポジトリ|<総説>運動と酸化ストレスと健康

酸化ストレスにつよくなるには運動とサプリメント

抗酸化酵素の活性は加齢によって下がってくると考えれています。つまり運動をやってもやらなくても歳をとれば活性酸素の害は徐々に増えていくわけです。

それを補う方法の一つはビタミンCやビタミンE、グルタチオンといった栄養素をサプリメントで摂取することです。

もう一つは先ほど上げた運動です。運動をした方が抗酸化酵素が活性化するのですから、活性酸素に負けない体を目指すなら「適度な」運動をしたほうがベターだと言えます。

運動は絶対にやるべき

活性酸素の問題がクリアになれば、あとは運動をやらない理由はないです。運動をすることで生活習慣病に関連するあらゆる数字が改善することは多くの研究で明らかになっていますし、ロコモティブシンドロームの対策になる事も明らかです。

冒頭に書いた患者さんには

  • 運動時間や強度に注意すれば活性酸素の害は心配する必要はない
  • 適度な運動はむしろ錆びにくい体にしてくれる
  • 運動には健康面で良い効果があることは明らか
  • 運動しないと筋肉が衰えてロコモティブシンドロームになる可能性が高くなる

ということを話したのですが、最後まで納得されることはありませんでした(悲)

まぁ理屈どうこうより、運動嫌いな自分の行動を正当化したいだけだったのでしょうね・・・

どこかで気づいて考えが変わってくれることを祈るのみです。

(おまけ)情報を都合良く解釈してはいけない

この活性酸素と運動の話のように物事の一つの面だけを切り取って拡大解釈されることはよくあります。
今はいろいろな情報が簡単に調べられますから、一つの話を盲目的に信じるのではなく、複数の情報源や反対意見も調べて、できるだけ公平な視点で情報を判断できるようになりたいですね。

院長 院長 整体師の知恵袋
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