人の体は機械ではない
僕は機械系のエンジニアから整体師になったのですが、今日来院された患者さんに、
「エンジニアと整体って全然畑違いですよね?」と言われて
「そうでもないですよ〜」
といろいろと共通点の話をしたのですが、話してる間に
「整体の勉強を始めた直後と今とでは、人の体に対する考え方が大分変わったなぁ」
ということに気づきました。
機械設計の仕事をしていた頃は、
「人の体だって物理法則に従っているんだから、構造(解剖学)さえ理解すれば痛みをとるのは簡単だろう」
と思っていました。今思うと、人の体を機械と同じだと見なしていたんですね。
整体師になってすぐの時もまだその考え方が強くて、骨の矯正のテクニックの勉強に精を出したり解剖学やバイオメカニクスをいろいろと学んだりしていました。
でも、多くの患者さんに接していると、明らかに姿勢も悪いし歪んでいるのに症状がなおってしまう人や、検査しても問題なさそうに見えるのに痛みが全然よくならない人など教科書通り、理屈通りではない方が沢山いらっしゃます。
そういう経験が増えてくると、単純に体の構造の問題だけが痛みの原因ではないようだと認めざるを得なくなりました。
そこから「痛み」というものをもう少し深く考えてみるようになると、
「痛みを感じるのは心であって体ではない」
という当たり前の事実に行き当たりました。
身体中の感覚神経からいろいろな信号が脳に入ってきますが、それをどう処理するのかは脳次第です。
そして、その脳の信号の処理にはその時の精神状態、つまり心がとても大きな役割を果たしています。
例えば、どんなに大好物な料理でも誰かとケンカしながら食べたらきっと美味しく感じないですよね。逆に、空腹でフラフラなときは何を食べたって最高の美味しく感じたりするものです。
だから、体の構造をなおせば痛みが無くなる、痛みの信号経路をシャットダウンすれば痛みから開放される、というような単純な問題ではないわけです。
また、最近の研究では精神的なストレスのはけ口として筋肉の緊張・痛みが起こる可能性も指摘されています。つまり心の痛みは現実の体の痛みにもなりえるわけですね。
そういうことを通じて最近では施術に対する考え方は
「心と体の両方のケアが必要、特にメンタルは肉体よりも大切」
というように変わってきました。
筋肉のバランスを整えて肉体を解剖学的にベストな状態にもっていくだけでなく、
- 患者さんに如何にリラックスしてもらえるか?
- 安心してもらえるか?
- スッキリした気持ちになってもらえるか?
といったメンタル面のことも考えながら施術していくことを心がけています。
ホント、若い頃の自分には説教したいくらいですね(笑)
な〜んて、偉そうなことを書きましたが、もともと気の利かない理系男子なので(言い訳)ダメダメだと嫁さんにはよく怒られてます(苦笑)
まだまだ毎日が修行の日々ですね・・・
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